東京工科大学 メディアセンター見学の報告

 

日付:2012年2月20日(月)

場所:東京工科大学 八王子キャンパス

説明: CIMG0736

 

案内: メディアセンター長 田胡教授

    メディア学部    天野准教授

    事務局       田中次長、早川課長補佐

参加: 井上副センター長

              山崎客員教授

水野客員准教授

田村客員准教授  

吉田客員准教授  
山田客員准教授

日本RAD 片野様   

杉浦技術補佐員  

(本レポートの執筆は、山崎客員教授と関が行っております。)

目的:

    先進的なハイブリット・クラウドでプログラミング実習できる環境を整備されたとお聞きしたので、見学と直接お話を伺いました

    静岡大学は教育のためのアプリケーションレイヤの整備に手がついていないため、次期情報基盤整備の検討のための情報収集をさせていただきました。

 

【参考】

・ ハイブリッド・クラウド環境でプログラミング

・ クラウド環境で実習講座を受講できる「授業クラウド」を実現

・ 授業クラウドプロジェクト

 

【大学詳細】

・学生数7500名で2010年から5学部になります。

・9000名規模まで拡大予定。

・八王子キャンパスの設備等は関連の日本工学院専門学校とシェアしている、という環境です。

・蒲田にも新しいキャンパスがあり、そちらとも回線をつないでいます。

東京工科大学公式HP

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見学内容

■メディアセンター

東京工科大学では、以前から映像を用いた授業やシステムに力を入れていたそうです。

撮影・投影設備や配信システムには多くの実績があります。

年々増える映像資料の保存と配信によるネットワーク帯域の問題を、クラウドや最新のネットワーク設備を用いて対応しようと取り組んでおられました。

 

情報基盤は大きく3つに区分されていました。

教育用設備

メディアセンターが主管しており現在最も力を入れている部分だそうです

学生向けwebサービスは、教育の一環で学生が開発し運用・利用しています

業務用設備

今後見直しを行っていく予定の部分だそうです。フルクラウド化を実施中。

基本的にSaaSを使用し個別システムの開発はしない、システム間の連携とりまとめのみ開発するという方向性です。

研究用設備

先生ごとに要望が区々で集約は困難なため、現時点ではネットワークサービスの提供のみで、特に対応していない部分だそうです

 

■設備

キャンパスの外観からもお察し頂ける通り、とても充実しています。

 

説明: CIMG0747

ホール(600人教室として使用)

月曜から金曜日まで、ほぼ1日中授業が実施されています。授業は全て収録してアーカイブされています。

 

説明: CIMG0757

学内放送局

クラウドを利用した保存管理を行っており、汎用的なインターフェースの利用にこだわっているそうです。ユーザ側は全てブラウザ利用に限定されています。

情報コンセント

学生は入学時に大学推奨パソコンを全員購入するため、学生が利用する場所・机には全て情報コンセントを設置してありました。

上記の600人教室も各席についています。

クラウドサービスセンターのサーバラック

高価な機器だけでなく、授業映像のエンコードは、秋葉原で購入したパソコンのボードをアクセラレータとして使用。低価格で非常に効果が高く、故障したら廃棄して交換する等の工夫もしているそうです。

 

 

■田胡教授による、東京工科大学の取り組みのお話

方向性

    クラウドを利用した教育では、クラウドPBLに力を入れています。
PBL(プロジェクトベースドラーニング)→テーマ・課題を与えて主体的に学習を進めさせる教育方法

    大学の特長として研究型より実践的(実際にやってみる)が中心。ハイブリット・クラウドもIBMからは主に物品の提供のみで
システムインテグレーション、システム(プログラム)開発などは学生も参加して主に大学自身で実施しています。

    ITインフラのフルクラウド化を目指しているとのことです。

 

 

研究内容

・専用端末の開発 工科大携帯 携帯電話形状のAndoroidの端末としてはおそらく世界初 googleより早く実用化したそう。

災害時のクラウドサーバ(太陽電池で動かすサーバ)

ITサービス内製の試み 「Assit

・CMS(Raptor)の自主開発(10年くらい継続)

コンテンツの作成と配信

コンテンツはオブジェクトにしてDBで管理。検索性に優れています。

収録した映像をオブジェクトにしてDB登録まで自動化。オブジェクト化でキーワード抽出したインデックス付け、授業スケジュールとの関連付け機能

→オブジェクト化することで、教員は全てドラックアンドドロップの簡単な操作でコンテンツの管理が出来ます。

→さらに、コンテンツの種別を意識することなく操作できる設計。

・ポータルサイト

ブラウザベース

OpenIDで、Gmailを使用してシングルサインオンを実現。

ログオンしたホームディレクトリはCMSになる。

google.Docsを利用して作成した文章もすぐにCMSのDBに保存される

→現状では簡単な資料作成程度でないと操作性に限界がある

→作成したものは全てCMSで管理されるようにする

 

L-Cloudの試み

プログラミング環境の提供

→IBMと連携(IBMはコンポーネントと技術支援の提供のみで開発は大学が実施)

ハイブリット・クラウドにwebブラウザでアクセスしてプログラム開発実行を可能にした

 

1.端末からの開始要求

2.ポートマッパーがプライベートで起動するかパブリック(ベンダーの国内DC)で起動するか切り分け

3.指定された先で起動

4.保存

5.プライベートとパブリックを同期・変更を共有

※工科大のパブリック・プライベートは回線ではなく、物理的なサーバの場所を指している。

ハイブリッド・クラウドの構成

テキスト ボックス: Smashテキスト ボックス: Smashテキスト ボックス: Smashテキスト ボックス: Smashテキスト ボックス: Smash

Mashがブラウザで起動しているところ

 

・パブリッククラウドを利用した動機

(ア)  1年のプログラミング授業は300人ぐらいが同時に実施。最大負荷にあわせたシステムの保有は非現実的

(イ)  授業利用の場合、負荷が予見できる

(ウ)  負荷の変動が大きい

・運用方法

(ア)  授業時はパブリッククラウドを利用(従量課金)

(イ)  夜間も利用したい少数の要望に対してプライベートクラウドを提供

・メリット

(ア)  準備なくどこでも使える環境が提供できる。

→ソフトウェアの開発環境を個人のPCにインストールする時間が必要ない
→初日から実質的な授業ができる

(イ)  ストレージが低価格化しているため、学習内容もどんどん保存できている。

・今後の課題

(ア)  インスタンスの起動時間を早くする工夫が必要

 

 

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■感想(関)

楽しかった!

・・などと書くと、小学生の絵日記にも劣る表現でしょうが、本当に楽しかったです。

充実した設備にも、ここはどこの近未来都市かと驚きましたが、(映画のセットみたいな美麗キャンパスでした)

クラウドを最大限活用した教育システムや、目指す方向性、考え方と工夫された実現方法など、内容的にも面白いことばかりでした。

端くれながら、同じクラウドを扱っている身として、今後の研究にとてもいい刺激となりました。

この場を借りて、改めて東京工科大の皆様に厚く御礼申し上げます。

 

井上副センター長が、対比として静大クラウドの話をすると

学生さんから「学生は(そのシステムに対し)どのような役割をするのですか?」という質問を頂いて驚きました。

静大は総合大学なので、一部の情報系学生を除き、

‘ネットワークや基幹システムは提供されるもの。動かなかったら職員に聞くもの’という考え方を持っています。

東京工科大学では、「情報インフラは提供されるものではなく、自分たちで作るもの」という意識が根付いているんですね。

素敵な風土を羨ましく思いました。

私も負けないよう、鋭意努力していきたいと思います。